亜鉛は、味覚や肌、髪、性機能など様々な生理機能に関わるミネラルです。特に、舌表面に存在する味蕾は味細胞が集まっており、味細胞の平均寿命が2週問程度であるため、亜鉛が不足すると味覚障害が引き起こされます。嗅細胞(4~8週間の寿命)も亜鉛不足により嗅覚障害が起きます。
男性で、亜鉛は前立腺に最も多く存在しており、精子を作るのに重要な役割を担っています。
形成に重要な役割をもっており、亜鉛濃度が低い方では精子の運動性や精子の形に異常を示す方が多いとの報告があります※1。さらに、子供のいない男性では精液中の亜鉛が低い方が多いという報告もあります※2。また、亜鉛は男性ホルモンであるテストステロンを作るのに必須であり、亜鉛が欠乏すると精子数が減少することも報告されています※3。
女性でも、亜鉛は妊娠に重要なミネラルであり、妊娠中の母体の血清中の亜鉛濃度は正常時の約半分まで低下しており※4、積極的に摂取していく必要があります。胎児では、主に肝臓と骨に亜鉛が蓄積されていて、出生後の発育に使われるため、蓄積が十分でないと欠乏症状が赤ちゃんに出やすいことが報告されています※5。
亜鉛は、男性だけでなく女性にも重要なミネラルで妊活・妊娠時には積極的に取っていく必要があり、牛赤身肉・豆類・牡蠣など亜鉛を多く含む食品を積極的に摂取していきましょう。
※1 Caldamone, A. et al. Urology 13. (1979):280-281.
※2 Pandy, V. et al. Sci Total Environ 27. (1983):49-52.
※3 Antoniou, L. et al. Lancet 2. (1977):895-898
※4 Henkin, R. et al. Amer J Obset Gynec 110. (1971):131-134
※5 Kynast, G. et al. J Perinat Med 8 (1980):171-182
