呼吸で取り入れる酸素は、生命活動に必要なエネルギーを生み出す、いわば命のもとですが、一部は体の中の細胞や組織などの酸化、いわゆる“サビ”につながる「活性酸素」に変わります。
活性酸素は、強い酸化力によって細菌感染などから体を守ってくれる役割も担っており、多すぎても少なすぎても良くない存在です。ただし、活性酸素が過剰に発生した酸化ストレスの高い状態になると、体の中にあるタンパク質や脂質、遺伝子などが酸化され、様々な病気につながります※1。特にDNAが活性酸素により損傷を受けると「8-OHdG」という物質が生成されます。バディチェックOxでは、精液中の8-OHdGを測定しています。
それでは、精液での8-OHdGを測定することに、どんな意味があるのでしょうか?実は、男性不妊の30-80%は酸化ストレスによる精子のダメージによるものであると考えられています※2。またパリの研究で不妊治療クリニックに通院している4,345名の男性を対象に、精液所見と精子DNAの損傷率の関係を調べた論文では、精液所見が正常だった男性では、年齢が高くなるほど精子DNA損傷率が高くなり、精子DNA損傷率が高くなるほど運動率が低い傾向であることが報告されています※3。
元気な精子を作るためには、酸化ストレスの少ない生活を送る必要がありそうです。そのためには、自身の酸化ストレスと生活習慣を知り、何を改善していくか決めていくのが良いと思います。
※1 Hansson, K. New England Journal of Medicine 352 (2005): 1685-1695.
※2 Tremellen, K. et al. Hum Reprod Update 14. (2008):243-258.
※3 Belloc, S.et al. Fertil Steril 101. (2014):1588-1593.