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精液=精子+液体(精しょう)
~知られざる精しょうの「成分」~
身近なのに、実は研究が進んでいない精液。
私たちのこれまでの研究で、精液は男性のコンディションを反映する、非常に優秀な検体であることが分かってきました。精液は、まさに我々の相棒(バディ)なのです。
精液=精子+液体(精しょう)
精液は、実は精子部分と液体部分に分けられます。
液体部分は「精しょう」と呼ばれ、前立腺と精のうから分泌された液体です。
精巣でつくられた精子が外に出てくるときに、この「精しょう」と混ざり合ったものが精液なのです。
精子=実働部隊
精子は、DNAを卵子まで届ける使命を持ち、通常1度の射精で数億匹放たれます。
つくりは非常にシンプルで、先端部分に核(DNAが入っている)があり、動力源としてミトコンドリア、卵子へ向かうための鞭毛をもっています。
通常の精液検査で見ているのはこの精子です。
精子の形状や数、動きなどの観察が行われています。
精しょう=サポート部隊
精しょうには、精子のパフォーマンスに影響を与える成分が多数含まれています。精子の持久力や動きのパターンに影響を与える成分も見つかっており、家畜の研究では、同じ精子でも精しょう部分の成分が変わるだけで行動パターンが変わることが分かっています。
家畜の分野では、人工受精が主流となっており、ヒトと比べると格段に精液の研究が進んでいます。
以下の動画は、同じ豚の精子で精しょうの成分を変えた時の動きです。
<精しょうの成分を変更する前>
精子が回転するように運動しています。
この動きは本来卵子付近で生じる運動で、射精直後にこの運動を始めてしまうと卵子までたどりつけません。
<精しょうの成分を変更した後>
精子が直進するように運動しています。
射精後にこの動きが生じることが重要で、卵子にたどり着くために必要な運動です。
私たちの研究はまだ始まったばかりですが、少しずつ精液成分の重要性がわかってきています。
たとえば,精液中の内毒素(細菌が放出する成分)の濃度が高い場合、その精液中の精子は体外受精における受精力が低く、例え受精しても発生する率が低いことがわかっています(Fujita, Shimada et al., Human Reproduction, 2011)。また、これは家畜の例ですが、精液中の栄養素の偏り(糖分が多い/少ない精液やアミノ酸が多い/少ない精液)が、精子の運動できる時間を決定し、体内での受精力に影響をもたらしているということも報告しております。(Shimada et al., AGri-Bioscience Monographs, 2016)。
このように、精液は受精にとても重要な成分であり、精液の中身を調べることで精子の能力を推定することができます。
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精子のバッテリー【クレアチン】
~BUDDY CHECK™(バディチェック)『Cr』,『Pt』で測定~
クレアチンとは?
精液中のクレアチンは、精子に取り込まれて精子の運動に必要なエネルギーを与える、いわば「バッテリー」のような役割をしていると考えられています。
クレアチン添加による影響
~体外受精培地へ添加した場合~
私たちのこれまでの研究から、クレアチンを精液に添加することで、精子の持久力・活動量が驚異的にUPすることが明らかになりました。家畜の体外受精時にクレアチンを添加することでごく少量の精子でも受精に成功します。そのため、クレアチンは受精能力に非常に重要な物質だと考えられます。
年齢とクレアチンの関係
~50代以降に低下が見られる~
私たちの調査で、20代から40代までは大きな変化は見られませんが、50代から急激に減少することが分かりました。
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